空気中の溶接ヒューム濃度測定を行った後の措置の1つに、「測定結果に則した呼吸用保護具の選定」があります。このページでは、呼吸用保護具選定の為の測定結果の見方と、呼吸用保護具の種類についてお伝えします。
目次
指定防護係数と、呼吸用保護具の種類を一覧にまとめました。既に溶接ヒューム濃度測定が完了したという方は、呼吸用保護具選定の際、是非以下の早見表をご参考下さい。
呼吸用保護具の選定について改正版特化則では、①溶接ヒューム濃度測定を行い、②要求防護係数を求め、③それを上回る指示防護係数を有する呼吸用保護具を選定する、としています。防護係数とは呼吸用保護具のスペックを表す数値のことで、この数値が高ければ高いほどその性能も高いとされます。
更に、要求防護係数・指定防護係数はそれぞれ上記のように定義されており、呼吸用保護具選定の際には、要求防護係数を上回る指定防護係数を有するものを探さなければなりません。
等級別記号とは、呼吸用保護具の種類と性能を表す記号のことで、英字は呼吸用保護具の種類を表しています。(下記図中の「オイルミスト」とは、空気中に浮遊する微粒子状の油のことです。切削油が主な原因となる為、アーク溶接作業の現場の近くに切削油を使用する工作機械が設置されている現場では、等級 L の呼吸用保護具を使用しましょう。)
更に、数字はその性能を表しており、粒子捕集効率に基づいて 1~3 に分類されています。鉛則第 58 条や、特化則第 48 条及び粉じん則第 27 条においては、この性能について以下のように規定されています。
このように、防じんマスクを選定する際には、防護係数だけでなく、等級別記号にも注意が必要です。
溶接ヒュームに対応した呼吸用保護具は最初に示した早見表の通り 3 種類あります。更に、取替え式防じんマスクと電動ファン付呼吸用保護具はその形によって種類が分かれます。同じ種類の呼吸用保護具でも、形によって指定防護係数が大きく異なる為、注意が必要です。
(画像:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
最後に、代表的なメーカの呼吸用保護具を種類別にピックアップしてご紹介します。冒頭に示した防護係数早見表と併せて、商品選定の際に是非ご参考ください。
※現在、新型コロナウイルスの影響を受け、使い捨て式防じんマスクの確保が難しい状態が続いています。新しく呼吸用保護具を選定する際には、取替え式防じんマスク、又は電動ファン付呼吸用保護具をお勧めしております。
以下リンクから、各メーカのカタログページに飛びます。
以上、特化則対策の為の呼吸用保護具選定方法についてお伝えしました。最後まで読んでいただきありがとうございました。呼吸用保護具選定のご相談等は是非、丸由工材株式会社までお願いいたします。お問い合わせはこちらから。
以下弊社ページでも特化則対策についてまとめております。是非ご参考下さい。
(参考資料)
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 「金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う皆さまへ」
中央労働災害防止協会 「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等」
Apiste 「環境機器 ミストコレクタ 周辺情報 1-1. オイルミストの発生とその影響」