2017年9月25日から29日にドイツのデュッセルドルフで開催されたドイツエッセン溶接フェア
(SCHWEISSEN & SCHNEIDEN 2017)を視察してきました。
前回に続き、展示内容を報告します。
前回は、自動化の主役である主要ロボットメーカー各社の展示内容を書きました。
自動化の背景は人手不足だけでなく、生産性を高める目的もあります。
日本もドイツも、グローバルな競争にさらされている状況に変わりはなく
いかに品質の良い製品を安価に生産するかは共通の課題と思われます。
今回は※インダストリー4.0を溶接工程にどのように活用しようとしているのか
インダストリー4.0の展示内容を書こうと思います。
※インダストリー4.0とは、生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを
現在よりも大幅に高めることにより、コストの極小化を目指します。
ドイツの溶接機メーカーであるLORCH社の“Qデータ”という機器は、QRコードを使った
溶接機への条件入力が可能になっています。
また、溶接後に溶接機から“Qデータ”へと収集される様々な溶接データは、インサーネットにより
PCなどに記憶され、内容を確認することが出来ます。
エサブ(ESAB)は“Weld Cloud”というオンライン管理システムを展示していました。
溶接後にデータがイーサネット、Wi-Fiでソフトウェア プラットフォームである
“Weld Cloud”に送られます。
“Weld Cloud”に収集されたデータはさまざまな立場の人に活用されて生産性向上に貢献します。
生産管理部門では設備の稼働率を高めたいので、向上要因を見つけるためのデータとして使います。
品質保証部門ではトレーサビリティが重要なので、不良発生時の原因追求と改善を判断する
データとして使います。
保守部門では溶接機の状況を知りたいので、保守技術者にアラーム通報して、メーカー修理部門と
効率的に通信できます。
製造部門では一人の作業者がテストして決定した溶接条件を、全ての溶接機に送信して
設定できるので時間を節約できます。
“Weld Cloud”はデータを取って、入力すればするほど生産性が向上して、品質の良いものを
安価に生産できると売り文句にしています。
画像は生産管理部門で使用される溶接機稼動に関する様々なデータを表示しています。
YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PNxYnqpl00k
https://www.youtube.com/watch?v=R63DEWagbV8
溶接工程のインダストリー4.0についてトレーサビリティの要求が厳しい自動車関連で
品質管理の目的としてのニーズはありそうと思いました。
ただ溶接機の場合、不具合時は予備機と交換が出来るので
工作機械、ロボットと比べると予防保全としてのニーズは低いのではと思いました。