2019年12月18日から21日に東京ビックサイトで開催された国際ロボット展を視察してきました。国際ロボット展は2年に一度開催されていますが、今回は出展社数、規模ともに過去最大で来場者数も141,133名となり前回130,480名を上回っています。展示内容の紹介の前に、自動化の現状と課題について考えてみます。
①生産性向上が求められている
現在の製造業はまさに「生産性向上」が必要とされています。(労働生産人口の減少、労働単価の上昇、人手不足、求人難、働き方改革など)
2025年問題に備えてどの企業も若い人材を確保して平均年齢を下げる必要性がありますが、生産性が低いと利益が出にくく、人材確保の条件である労働単価の上昇に対応しにくくなります。また、優秀な人材の確保には業務の専門性を高め、雑務を少なくする必要もあります。他にも、技術難易度が高くなる製品製作に伴い、品質管理が厳しくなるため労働集約型から自動化による生産品質の安定が求められます。このような外部環境からみて自動化がこれまで以上に新規分野へ拡大するのは必須です。
②ロボット化がスムーズに進んでいない
自動化が求められる外部環境にありながら、スムーズに進まないという課題があります。これはロボット人材の不足・ロボット操作の難しさ・感覚的な作業の自動化の難しさ等が原因とされており、特にこれらのような問題が発生しやすい中小企業や、これまでロボットを使用したことがない現場、多品種生産を行う現場等ではロボット化が進みにくいのが現状です。
人手不足の食品業界ではあるが、課題が多くロボット化がスムーズに進んでいない(東洋経済オンラインより)
それに対して、ロボット導入に関する課題について解決に向かっているものもあります。これまではロボットをシステムとして使用する場合が多く、スペースやコストを必要とする為、規模の大きい工場で採用されることがほとんどでしたが、安全柵が必要ない「協働ロボット」の登場により設置の自由度が高まり、これまでは自動化が困難であった作業のロボット化が可能となりました。このようにスペースの問題が解決された今、さらに低コスト化が進めば、工場の規模を問わずロボットが使用されると期待されます。
以上のような自動化を取り巻く状況・課題に対してロボット展出展各社はどのような課題解決策を展示しているのか?
革新的なテクノロジーであるIoT技術、AI(ディープラーニング)技術、センシング技術などを課題解決にどのように活用しようとしているのか?
次章以降で展示内容を紹介していきます。